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2021/7/11更新
『東大化学専攻の院試ってどれぐらい難しい?』
『これから院試勉強を始めるんですが、効率の良い対策プランを知りたい』
こんな疑問にお答えします。
☆本記事の信頼性
東大理学系研究科化学専攻の院試に合格した内部生・外部生(15人)の話を基に本記事を執筆しました。
☆本記事のポイント
- 化学専攻合格の難易度|どれぐらい落ちる?
- 出題傾向の把握
- 過去問および解答例の入手
- おすすめの参考書・問題集を紹介
- 参考書・問題集の効果的な使い方を紹介
化学専攻の難易度|どれぐらい落ちる?
院試は大学入試よりも簡単で、大学院は余裕で入ることができるという話をよく耳にします。
しかし、実際のところ、かなりの人が院試で不合格になります。
当然かもしれませんが、外部生は内部生よりも不合格になる割合が圧倒的に多いです。
内部生よりも、情報の点で不利だからです。
実際に、僕の周りでも院試に落ちた人をたくさん見てきました。
例として、下図にある東京大学大学院の志願者数・入学者数をご覧ください。
全体を見たときの志願者数は約7700人で、入学者数3200人です。つまり、倍率は約2倍程度であり、東大の大学院を受験する人の2人に1人が落ちます。
また、各研究科にフォーカスすると、倍率が4倍近くになる研究科も存在します。
理学系研究科化学専攻に関しては、内部生が落ちることはほとんどありません。(授業が英語で実施されるため、人気が低いです。)
外部生の倍率に関しては、2倍も無い程度です。
しかし、研究室あたりの外部生の店員が決まっているところがほとんど(1〜2人)なので、第一志望の研究室に合格するためには、気を抜けません。
『研究室訪問の際に、研究室の外部生定員や研究室訪問に来た外部生の数などを聞いておきましょう。その研究室の難易度・人気度がなんとなく把握できます。』
出題科目の確認
まずは、研究科のHPを訪問して出題科目と得点配分を把握します。
東京大学大学院 理学系研究科化学専攻のHP
コロナの影響で試験内容が大幅に変更されました。
英語に関しては当日に受験するのではなく、事前にTOEFL iBTのスコアを取得しておく必要があります。
☆TOEFL iBTに関する記事
TOEFL iBTの対策に絶対に必要な参考書・単語帳もまとめてあります。
当然かもしれませんが、英語よりも専門科目のほうがウエイトが大きいです。そして、英語に関しては内部生、外部生問わず苦手意識のある学生が多いです。
英語ができる人も出来ない人も英語の得点ではそこまで大きな差が出ません。ゆえに、英語の対策に時間を割くのは非効率であることが分かると思います。
時間を割くべきは専門科目です.
専門科目の試験内容に関しては、従来のものとそれほど変わりません。
過去問を参考に、出題傾向を把握してください。(化学専攻の過去問はHPにて共有されています。)
物理化学・無機分析化学に関しては得点源になるので、絶対に落とさないようにしましょう。
どのような問題が出題されるのか、研究室訪問の際に、教授もしくは院生に聞いておくと良いです。
過去問・解答例の入手方法
化学専攻の過去問はHPで無料で入手できます。ありがたいですね。
コロナによって試験内容が変わったとは言え、論述試験に関しては過去問と同じ様な内容が出題されます。
化学専攻は出題傾向が分かりやすい方なので、過去問は必ず見ておいてください。
問題となるのは過去問の解答例の入手です。
解答例は、どの程度の解答を記述すれば得点できるのか、内部生のレベル感を確かめるためにも手に入れておきたいアイテムです。
内部生との差を埋めるためにも過去問+過去問解答例の入手はマストです。
研究室見学の予定がある人用に、過去問を持っていると思われる研究室の名前を記しておきます。(2020年時点において解答を所有していた研究室です。現在もそこで入手できるのかは不明です。)
研究室訪問時に入手するのがいいですが、交通費がかかりますし、訪問した研究室の内部生が解答例を持っているとも限りません。
そこで、過去問解答の入手経路に活用したいのがメルカリ等のフリマアプリです。
参考書や問題集よりも値段が高い場合が多いですが。交通費や時間効率を考えると、ネットで購入する方がコスパがいいです。
過去問に関してもtwitterでDMを頂けると対応可能です。(在庫がある場合)
阪大や東工大についても相談大丈夫です。
無機分析の基礎問題については、毎年同じような問題が出題されます。
以下の記事を参考にして、得点できるところで、必ず得点しておきましょう。
おすすめの参考書・問題集
過去問を手に入れても、やはりそれだけで対策するのは無理です。
問題集などで繰り返し演習問題を解かなければ必要な知識が定着しません。
そこで、化学専攻の対策として、絶対に買っておくべき参考書・問題集を以下に記します。
有機化学
・ジョーンズ有機化学 上・下
有機化学に関しては、ジョーンズの章末問題が解けるようになれば、十分だと思います。
内部生が授業・院試対策で使用している参考書がこのジョーンズ有機化学です。(中村先生が訳されていることもあり。)
章末問題の解答も入手しておきましょう。英語版ですが、分かりやすい英語で書かれているので、かなりオススメです。
・ジョーンズ有機化学問題の解き方ー英語版
無機化学
・レイナーキャナム無機化学
レイナーキャナム無機化学は化学専攻の授業にも採用されており、院試において、この参考書の内容が度々出題されます。(西原先生が訳されていることもあり。。)
ゆえに、無機分析化学の対策にレイナーキャナムは必須です。
普通に面白い参考書なので東大の院試を受験しない人にもお勧めです。
物理化学
・アトキンス物理化学
物理化学の参考書の中では最もポピュラーな参考書だと思います。
東大の内部生も、ほとんどの人がこの参考書を利用して物理化学を勉強します。
ジョーンズと同様に、章末問題の解答例があると勉強しやすいです。
化学系なら絶対に買っておくべき問題集
問題集は、大学院入試問題を中心に(化学演習シリーズ)がおすすめです。
過去の院試で実際に出題された問題とその解答例が記されています。
院試対策だけでなく、定期試験対策にも利用できる良書です。
東大の内部生も愛用しています。
・大学院入試問題を中心に(無機分析化学)
・大学院入試問題を中心に(物理化学)
無機化学・物理化学のこの4冊はマストです。
無機分析化学と物理化学の対策に関しては、上記の問題集をやれば十分です。
東大の院試を受験する人だけでなく、他大学の院を受験する人にもオススメです。
東工大や京大の院を受験する友人も愛用していました。
*有機化学は参考書の章末問題で勉強することをオススメします。このシリーズの有機化学は必要ないです。
参考書と問題集の他に、講義資料、授業ノート、定期試験問題などを入手できるとより良い対策が可能です。
これだけでは不安と言う人は、こちらの記事を参考にしてください。おすすめできる化学の参考書について網羅しています。
過去問と問題集の活用方法
過去問や参考書・問題集がそろったところで、何を勉強するべきなのか、過去問を分析することで明らかにしていきます。
過去問から各分野の出題傾向を把握し、出題傾向が高いものを重要単元リストとして記録します。
重要単元リストのうち、最近の院試で出題されていない単元は、今後出題される可能性が高いです。
無機分析化学では、毎年必ずと言っていいほど分析手法の記述問題が出題されます(事実です)。
そこで、分析手法をまとめたリストを作成し、出題年数から出題される可能性が高い分析手法に目をつけて、それらを重点的に覚える、といった感じです。
何をやるべきなのか、合理的に優先順位を決めてから、行動に移さなければ、時間と労力だけを消費してしまいます。
過去問を眺めていると、相性のいい分野も分かってくると思います。当日にどの分野で勝負するのかをあらかじめ決めておくのもいいと思います。
効率的な対策方法
おすすめの勉強方法はいたってシンプルです。
参考書を読むよりも、演習問題を解きまくりましょう。
問題集を解く過程で、分からない箇所を参考書で調べるというスタイルが一番効率的で効果的です。
参考書を読んでも理解できないところは、理解できるまで教授や研究室のスタッフに聞くようにしましょう。
外部の人は情報が少なく不安も多いと思いますが、頑張ってください。
東大での研究生活は本当に充実しています。
努力して入るだけの価値は絶対にあると思います。
院試までの残り時間、楽しく充実した大学院生活を思い、全力で勉強しましょう!!